上級 第17回(4)

●エピソード4

ローマの政治家・弁論家キケローは、その著「老年について」で農業にたずさわることは農夫の快楽であり、賢者の生き方にも通じると言っている。駘蕩とした生活を送ることを貴しとする考え方は、古今東西で共通する。

(東洋では、桃源境や竹林の七賢人の理想観がある)
 

●問題4-A

ホメロスの「オデュッセウス」で、母は息子のあまりに長い従軍を悲しみ、亡くなった。一方、父ラエルテースは葡萄作りでその悲しみを和らげた。さて、オデュッセウスの従軍は何年に及んだでしょう?

(1)5年
(2)15年
(3)20年
(4)還って来なかった

 

●問題4-B

ローマ皇帝を辞したディオクレティアヌスが、その後農作業をしてい    たとき、かつての部下に推奨した作物は何でしょう?

(1)ブドウ
(2)キャベツ
(3)スイカ
(4)トマト

 

●問題4-C

中国の水墨画によく描かれている、自然の中で蕩蕩とした生活をしているキャラクターはどういう人物でしょう?

(1)仙人
(2)こども
(3)読書人
(4)樵(きこり)

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上級 第16回(1)

難(かた)いかな、恒(つね)あること

むずかしいのは、信念もち、そしてもち続けること。

●エピソード1

南宋の名臣、文天祥は、元との崖山の戦い(1279年)で決定的な敗北を喫し、身柄を北京(大都)に護送された。文官としての優秀さを聞いていたフビライ・ハンは彼に元に仕えるよう勧めるが、彼は頑として志操を曲げない。獄中で、有名な「正気の歌」を記す。獄中にあること3年。いよいよ処刑される前に、「過零丁洋」(零丁洋を過ぐ)の詩を賦す。その詩の最後にはこうある―― 「丹心を留取して汗青を照らさん」 (誠の心を貫いて、歴史の評価の中で自分の名を輝かせたい) 囚われの身となった文天祥の、志だけは決して失わないとする凄絶な覚悟である。
                   (死んでも信念を曲げない人物もいる)
為政者の中に、自分の結果責任を棚上げにして「あとは歴史の評価にゆだねたい」と逃げ文句を言う者がいるが、文天祥の言葉とは一見似てはいても、覚悟の無さでは雲泥の差がある。

 

●問題1-A

宋は1127年に北方の金に攻め込まれ北半分の領土を失い、徽宗と欽宗親子は金の都(ハルビン)に抑留された。この事件を何というでしょう?

(1)黄巾の乱
(2)安禄山の乱
(3)紅巾の乱
(4)靖康の変

 

●問題1-B

宋は、1127年に南宋となってからはどこに都をおいたでしょう?

(1)南京
(2)上海
(3)開封
(4)臨安

 

●問題1-C

この「正気の歌」に基づいて「正気の歌に和す」という詩を作った日本人は誰でしょう?

(1)頼山陽
(2)吉田松陰
(3)藤田東湖
(4)佐久間象山

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上級 第16回(2)

●エピソード2

徳川幕府最後の勘定奉行、小栗忠順(ただまさ)は、開国後の国家経営、特に国益に 沿うよう経済を運営するにはどういう制度が必要かを、ずっと考え続けた。条約批准書の交換のために米国を訪れたときは、通貨交換比率の不整合な取り扱い事実をそろばん片手に指摘したり、外債発行に奔走したり、造船所の建設やそれを稼動させるための経営システムを導入したり、また商社の設立やホテルの建設等をすすめたりと、その後の明治日本の経済体制の図面を描いた。小栗忠順には、国益とはすなわち国民益、小を糾合して大を為すの信念があった。惜しいかな、慶応4年、新政府軍に捕えられ、従容として落命。まことに時代の先を読む人物だった。

 

●問題2-A

小栗忠順らが小判1両と米ドルの交換レートを分析するために立ち寄ったのはどこでしょう?

(1)フィラデルフィア造幣局 
(2)ニューヨークの連銀事務所
(3)シカゴ穀物市場
(4)ワシントンのホワイトハウス

 

●問題2-B

小栗忠順が企画した造船所はどこに設けられたでしょう?

(1)横浜
(2)横須賀
(3)江戸
(4)長崎

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上級 第16回(3)

●エピソード3

「デミアン」(ヘルマン・ヘッセ)において、少年シンクレールは、家族という安住の世界の外に、(同級生を経由して、また)別の悪の世界のあることを知ったが、このとき、不思議な少年デミアンに助けられる。デミアンはシンクレールの顔を見て”カインの印“(罪業を背負いつつも、神の記憶・祝福にあずかる者の意) があると話すが、シンクレールにはその意味がよく分らなかった。その後大学生となってもデミアンとの交友は続く。戦争の気配やカインの印のことで「自分は何者か、何を維持すべきか」と悩み続けるシンクレールではあったが、デミアンの郷里でその実母エヴァ夫人から優しく助言される。以降、シンクレールは夫人を慕うようになる。折しも彼らの国は戦争に突入した。文明的にも精神的にも荒廃しきった社会の姿を見て、キリスト教的倫理観の限界を知り、いやがおうにも現実に適応しなければならないと感じる。シンクレールが奇しくもデミアンに再会したのは、従軍中の野戦病院のベッドでだった。

(自己探求を通じて、運命と向き合うことの大切さを認識する彼ら)

 

●問題3-A

彼らが経験することとなった戦争はどの戦争でしょう?

(1)普仏戦争
(2)植民地戦争
(3)第一次世界大戦
(4)第二次世界大戦

 

●問題3-B

シンクレールがエヴァ夫人から助言されたときの比喩は次のどれでしょう?

(1)麦が枯れなければ、次の世代の種とはなりえない。
(2)昔の人が木を植えてきたから、今の豊かな森がある。
(3)理想は星のように輝くだけで、決して手は届かない。
(4)卵から出ようとする鳥は、殻を破壊しなければならない。

 

●問題3-C

カインの印のことは、何が出典でしょう?

(1)コーラン
(2)旧約聖書
(3)新約聖書
(4)仏典

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上級 第15回(1)

怪力乱神(かいりきらんしん)を語らず

根拠の無いこと、架空のことを言ってはいけない。

●エピソード1

孔子は現実の政治を見ており、その前提の上で国を秩序立ったものにしたいと望んでいた。夢や希望だと単に現実の裏返しを願っているだけでは、怪力乱神を語るのと大差はない。当てにならないことを持ち出しても全く無意味だ、と考えていた。。

(孔子の現実主義者としての考え方を最も示すもの)

 

●問題1-A

孔子は、弟子たちとある川の側に来てその流れを見て、「逝(ゆ)くものはかくのごときか昼夜を舎(お)かず」(子罕第九)と語った。この川とはどこの川でしょう?

(1)黄河
(2)長江
(3)渭水
(4)洛水

 

●問題1-B

季路があえて死を問うたのに対し、師は「いまだを知らず、いずくんぞ死を知らん」と答えた(先進第十一 12)。
の箇所に入るのは何でしょう?

(1)
(2)生
(3)道
(4)天

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上級 第15回(2)

●エピソード2

英国16世紀の王、ヘンリー8世の臣トーマス・モアは、非現実なキャラクターや荒唐無稽な土地を登場させて、「ユートピア」という書物を書いた。しかし、これはただ単に、空想物語として書いたものではない。“怪力乱神”を登場させてはいるが、本当のねらいは現実の猛烈な批判だった。現実の農村で起こっているのは、一部の金持ちが、牧羊のために土地を囲い込み、他の農民を排除している実態だ(「羊が人を食う」)。非現実なことを非現実なままに語るのは、論語も言うように意味がないが、別の目的や動機をもって語るとき、それは時代を見通す批判書となる。

(論語の戒め以上をいく、強烈な批判精神もある)

 

●問題2

「羊が人を食う」と喩えられたこの社会現象を何というでしょう?

(1)農民追い出し運動
(2)羊優先運動
(3)羊毛業振興運動
(4)土地囲い込み運動

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