君子は矜して争わず群して党せず
君子は矜して争わず 群して党せず
人とあらそわずに誇りをもて。 党派的になりすぎてはいけない。
君子矜而不争、 群而不党 (霊公第十五 22)
【対話】
A とかく器の小さい人は、 群れの中で自分を守りたがる。
B (その性格は悲しいことだ。 だが、) そうなるのを少しでも防ぐように考え出されたのが、 英国のアーサー王伝説にある、 十二人の騎士たちのすわる円卓だ。 騎士はランスロットを初めとする面々で、 むろん騎士道精神を実践している者たちだ。 ただ、 この物語の中でランスロットは、 最後にアーサー王に叛逆することになる点、 本句のテーマに反することとなっている。 とかく、 信念と孤高を守るのは難しい。
【エピソード】
福沢諭吉は父の死去で豊前中津へ帰郷しても周囲の空気に溶け込めず、 軽輩ゆえにすべてに劣後。 これをはねのけようと、 漢籍万巻にあたり、 勉学にはげむ。 彼の独立不羈の精神は、 門閥制度への怒りに始まる (『門閥制度は親の敵でござる』)。 やがて党派的に群がる人間がつまらなく見えてくる。 そして、 知への好奇心、 実利効用の発想をたくましくする。 邪魔だてされても意に解さない精神力は痛快だ。
「福翁自伝」 明治32年
カテゴリ:論語解説
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2016年6月14日