上級 第13回(1)

徳(とく)を以(もっ)て徳(とく)に報(むく)ゆ

他人のまじめさには自分もまじめに応えなければならない。

●エピソード1

この言葉の前に、「直きを以て怨みに報い」という言葉がある。周辺諸国どうしが戦っている厳しい時代にあって、自国も生延び、隣国も生延びるための基本政策について、孔子は仁愛だと説いている。徳は相手を無条件に赦すことではなく、公平無私や正義を目指す姿勢である。荻生徂徠の“経世済民”の思想は、この考えを発展させたものだ。

(徳は博愛の思想とは異なる)

 

●問題1-A

この句から「報徳思想」が生まれてきた。これは誰によって初めて説かれたものでしょう?

(1)石田梅岩
(2)佐藤信淵
(3)山鹿素行
(4)二宮尊徳

 

●問題1-B

荻生徂徠が、幕府政務の諮問に答える地位になったときの将軍は誰でしょう?

(1)徳川家光
(2)徳川家綱
(3)徳川綱吉
(4)徳川吉宗

●問題1-A  (4)二宮尊徳

「報徳思想」は二宮尊徳が、特に経済的営みの中で徳のあり方について確立させた考え方。具体的なテーマとしては、至誠、勤労、分度、推譲をあげており、これらの実践を重視した。

 

●問題1-B  (3)徳川綱吉

荻生徂徠が仕えたのは、5代将軍徳川綱吉の時代、元禄9年から。
直接には綱吉側近の側用人、柳沢吉保に抜擢され、以降将軍綱吉の知己も得ている。綱吉の死去後は、日本橋茅場町※で私塾蘐園(けいえん)塾を開いた。荻生徂徠は、もともと伊藤仁斎の古学を出発点にしており、古文辞学を提唱した。これは孔子、孟子の原典を重視する考え方で、朱子学に対しては批判的姿勢をとる。
※隣に宝井其角が住み、「梅が香や隣は荻生惣右衛門」 の句は有名。

カテゴリ:論語クイズ

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