上級 第12回(1)

徳(とく)ある者(もの) 必(かなら)ず言(げん)あり

まじめな人には、信じられる言葉がある。

●エピソード1

「藤野先生」(魯迅 1926年)で、仙台で医学を学ぶ魯迅(ろじん)は、母国の低迷ぶりにいてもたってもいられず帰国を決意した。親切な藤野先生は、お別れに「惜別」 と書いた写真を魯迅にくれた。しかし、魯迅は帰国後先生に、気おくれから手紙を書け なかった。晩年それを後悔しながら、「ただ、彼(藤野先生)の写真だけは、今なお北京 のわが寓居の東の壁に、机に面してかけてある。夜ごと、仕事に倦んでなまけたくな るとき、仰いで灯火のなかに、彼の黒い、やせた、今にも抑揚のひどい口調で語りだし そうな顔をながめやると、たちまちまたわたしは良心を発し、かつ勇気を加えられる」
(岩波文庫) ―― 先生を尊敬しながら無沙汰を恥じる魯迅もまた、良心の持ち主といえる。

 

●問題1

魯迅の故郷はどこでしょう?

(1)北京近郊
(2)西安近郊
(3)上海近郊
(4)南京近郊

●問題1  (3)上海近郊

魯迅の故郷は上海近郊の浙江省紹興市。
魯迅は、低迷する中国社会を改革しよ うと、そのために一番有効な方法として、時代の警鐘を鳴らす作家の道を目指した。この「遠野先生」の叙述は北京在住時のことではあるが、上海在住時、1927年10月に、その後日中友好に尽力あった内山完造の内山書店(上海)を訪れており、以来二人は親交を重ねた。

カテゴリ:論語クイズ

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