上級 第3回(1)
人(ひと)よく道(みち)を弘(ひろ)む
道を弘めていけるのは、あくまでも人である。 (人といっても、漫然とした人の行動ではない、情熱ある行動でなくてはならない。まして、内部システムや組織だのみで道が弘まることはない)
水戸藩の藩校、弘道館の名はこの句に由来する。
●エピソード1
水戸藩主徳川斉昭は、早くから海防の充実と藩政の、ひいては幕政の改革が必要と考えていた。また藩では、「大日本史」の編纂事業を進めていたこともあって、"人が歴史を作る、そして歴史には必然がある"と考える水戸学が形成されてき、藤田東湖(ふじたとうこ)の「正気(せいき)の歌」は、広く維新の志士たちを鼓舞した。ただ、惜しいかな、東湖自身は安政2年の地震のとき、母を守ろうとして江戸屋敷の梁の下で圧死。
[ 水戸の魂 ― "人能弘道" ]
●問題1
藤田東湖の「正気の歌」は、中国のある忠臣の作になる「正気の歌」をふま えてかかれています。中国の忠臣とはだれのことでしょう?
(1)司馬温 (2)岳飛 (3)文天祥 (4)李自成
●問題1 (3)文天祥
藤田東湖の「正気の歌」の正式名は「文天祥正気の歌に和す」です。
徳川斉昭が天保15年(1844)に幕府から謹慎処分をうけたときに東湖も連座します。東湖ば、蟄居中にこの歌を作りましたが、それは、南宋の名臣文天祥が元朝に捕らえられても節操を曲まげずにいたことに、自分を重ね、自分を励ますためのものでした。
カテゴリ:論語クイズ
タグ: 上級 エピソード篇
2012年5月21日