上級 第12回(3)

●エピソード3

「賢人ナータン」(レッシング)

12世紀末、トルコのスルタン・サラディンは、エルサレムに来襲してきた第3回 十字軍を一旦撃退したのち彼らと休戦した。地元のユダヤナータンは、サラディンから は金を要求される。また一方十字軍からは、養女ルチアが十字軍騎士に救助された借り があっていろいろな要求をうける。そういう中、ナータンは、スルタンから質問から 受けた――「ユダヤ教、イスラム教、キリスト教のうち、どれが真の宗教か?」
そこで、ナータンは3つの指輪の話をした――「父親が持つ1つの指輪を3人の 息子に譲るにあたり、父親は迷ったあげく2つの偽物を作り、彼らに与えた。父の 死後裁判で争った息子らに対し、裁判長は『どれが本物かではなく、本物に相応しい 人物になっているかどうかだ』と諭した―― サラディンはこの答えに感銘を受けた。
ナータンの答えは、結局、どの宗教が本物かどうかではなく、隣人愛を実践してい るかどうかが大事だというもの。徳を重ねた賢人の回答は、明解に真実を示唆している (もともとの話はボッカチオの「デカメロン」にある)。

(人格高潔なナータンの知恵が、無用な宗教間の対立を防いでいる)


●問題3-A

ユダヤ人ナータンの職業は何でしょう?

(1)イスラエルに居たトルコの元将軍
(2)イスラム教の聖職者
(3)ユダヤ商人
(4)イスラエルにやってきたイスラム教の巡礼者


●問題3-B

「デカメロン」という言葉の元々の意味は何でしょう?

(1)サロン物語
(2)十日物語
(3)枠物語
(4)大きなメロン

●問題3-A  (3)ユダヤ商人

ナータンはユダヤの裕福な商人である。この戯曲「賢人ナータン」の結末は、少々驚くことになっている。例えば、十字軍側の神殿騎士(キリスト教の修道会士)は、ナータンの養女ルチア(イスラム教徒)をある火事場から救ったの であるが、この二人は愛し合うようになるが、戯曲の結末で、二人は事実は 幼児期に分かれたきりの兄妹だった。

 

●問題3-B  (2)十日物語

“デカ”は「十」を著わすギリシャ語。すなわち、デカメロンとは、1348年にペストが大流行したために、一般人がこれを避けるために、フィレンツェ近郊のある家に集まり、彼ら(10人)が自分で10日間、話を作って皆に聞かせることにした、との構成をとっている。

カテゴリ:論語クイズ

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