上級 第8回(1)

吾十有五(われじゅうゆうご)にして
学(がく)に 志(こころざ)す

そろそろ本気で勉強しよう。
ここでいう「学」とは学科のことではない。人としての魂の持ちようや常識やこの世で 生きていくに必要な道徳を対象にしており、自分に問いかける学問のことだ。

論語には、「博(ひろ)く学(まな)びて篤(あつ)く志(こころざ)し、切(せつ)に 問(と)いて近(ちか)く思(おも)う」(子張第十九)とある。

意味 考え抜いたことを質問して、それを身近なものに当てはめてみる。 

●エピソード1

中江藤樹は小さい頃、ある事情から祖父のいる伊予大洲に引き取られて成長する。しかし、母のことが恋しく、また母自身病弱であったことから、いつもは母のことを心配していた。ある冬の日、彼は決意して故郷へ帰った。着いたとき母は井戸端で水仕事をしていた。彼は元気よく「ただいま戻りました」と言って母の喜ぶ顔をみようとしたが、母はむしろ悲しい顔をした。そして「勉強を途中で放り投げて帰ってくるわが子の顔を見ても少しもうれしくはありません。今すぐに大洲へ戻りなさい」と言って彼を家に入れなかった。藤樹少年は自分の甘さを恥じた。去るも涙、送るも涙、ただ星だけがキラキラと輝いていた。中江藤樹はのち勉強を積み、大洲藩を脱藩して郷里へ戻り、親孝行をしたという。

(本気で勉強するとは—–)

 

●問題1-A

中江藤樹の故郷はどこでしょう?

(1)備中
(2)摂津
(3)京
(4)近江

 

●問題1-B

藤樹少年がこのとき母のために買って帰ったものは何でしょう?

(1)あかぎれの薬
(2)風邪薬
(3)足袋
(4)かんざし

 

●問題1-C

中江藤樹が講じた学問は何でしょう?

(1)兵学
(2)朱子学
(3)陽明学
(4)洋学

 

●問題1-D

中江藤樹が備前の池田光政から招聘されたとき、替わりに赴任させたのは 誰でしょう?

(1)伊藤仁斎
(2)熊沢蕃山
(3)山崎闇斎
(4)石田梅岩

●問題1-A  (4)近江

中園藤樹は後年、近江聖人と呼ばれている。

 

●問題1-B  (1)あかぎれの薬

あかぎれの薬を買って帰ったが、母は受け取らなかった。

 

●問題1-C  (3)陽明学

中江藤樹は、日本の陽明学の祖と言われている。

 

●問題1-D  (2)熊沢蕃山

熊沢蕃山は中江藤樹の一番の高弟。

カテゴリ:論語クイズ

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