上級 第14回(3)

●エピソード3

「車輪の下」(ヘルマン・ヘッセ 1905年)
村の人たちの声望を集めてギムナジウムに入学したハンスだったが、やがて自分の心を圧するような周囲の雰囲気に馴染めず、退学して村に帰ってきた。そして職につく。職場では、皆が一生懸命になって働いている。そして各人がそれぞれ培ってきた腕に誇りを持って屈託なく生きている。やがて彼はそこに労働の賛歌を感じるようになった。

(顕職につくことを人生の目的にしている発想に対しては、アンチテーゼとなるかも。ヘッセの自伝的小説として名高い。)

 

●問題3-A

“車輪の下”の「車輪」とは、小説の中でどういう物として描かれているでしょう?

(1)仕事場の外にある運搬具としての車輪
(2)仕事場の工具としての車輪
(3)親たちによって敷かれてきたハンスの成長路線を象徴的に表現
(4)人生を象徴的に表現

 

●問題3-B

ヘッセの次の作品のうち、主人公ヘルマンが久しぶりの帰郷時に、妹の友人であるヘレーネ・クルツに対しほのかな恋心をいだきつつも、それに破れ、再び旅立っていくという、”フーテンの寅"に似たあらすじをもつものは、どれでしょう?

(1)青春は美わし
(2)郷愁
(3)デミアン
(4)ガラス玉演戯

●問題3-A  (2)仕事場の工具としての車輪

ヘッセ自身は14歳で神学校に入学しているが、半年でやめている。やめたのちは仕事についており、特に書店の店員をしていたことは有名。ヘッセの作品では、学校の寄宿舎や中途退学がよく登場する。
 

●問題3-B  (1)青春は美わし

「青春は美わし」で、ヘルマンは夏休みに故郷に帰ってくる。家族とのうちとけた暮らしの中で心はすっかり癒されるが、妹の友人ヘレーネ・クルツに 恋心を抱いてしまう。彼女はすでに婚約者のある身で、その結婚のため、村を去ることになっていた。ヘルマンは、独り恋の感傷を胸に抱きながら、再び村を出て行く。誰しも経験するほろ苦い心を、みずみずしい筆致で描いている。なお、「ガラス玉演戯」は、ヘッセが1946年にノーベル文学賞を受賞したときの対象作品。

カテゴリ:論語クイズ

タグ: