徳を以て徳に報ゆ
徳を以て徳に報ゆ
他人のまじめさには自分もまじめに応こたえなければならない。
以徳報徳 (憲問第十四 36)
【対話】
A この言葉の前に、 「直きを以て怨みに報い」 という言葉がある。 では、 「怨み」 とは言わずとも 「不徳」 をおぼえる相手に対してはどうすればよいか?
B (そんな議論をしていてはいけない。) 論語はハウツー本ではない。 一つひとつに親切な答えを用意してくれていない。 周辺諸国どうしが戦っている厳しい時代に、 自国も生き延び、 隣国も生き延びるための基本政策は仁愛だと説いている。 徳は相手を無条件に赦すことではなく、公平無私や正義を目指す姿勢である (荻生徂徠の経世済民の思想は、 この考えを発展させたもの)。
【エピソード】
他人の陰謀で投獄され、 やがて脱獄したエドモン・ダンテス (モンテ・クリスト伯) は、 陰謀者たちにつぎつぎと復讐を実行していく。 しかし、 最後の相手は、 今も愛するかつての婚約者の夫である。 復讐すべきかとどまるべきか。 彼は、 元の婚約者に自分の秘密をうちあけるとともに、 精神的な高みへ歩むこと決意する。 そして自分に言い聞かせる―待て、 そして希望を持て!―
「モンテ・クリスト伯」 アレクサンドル・デュマ・ペール 1844年
カテゴリ:論語解説
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2016年6月14日