巧言令色鮮し仁

巧言令色こうげんれいしょくすくなじん

言葉たくみで目元麗しい人間にはロクなのがいないなあ

巧言令色、 鮮矣仁 (学而第一 3)

【対話】

A (何をいう。) 嘘や出鱈目でたらめやいい加減な噂話は論外として、自分が述べようとする内容のうち、特に重要な部分については、それを強調するためのかざり言葉は、いくらか必要だ。

B (しかし、それでは一生懸命に主張しようとする人を十把一じっぱひとからげに悪人扱いにしている。)巧みな言葉は、それなりに必要だ。 ただ、それを聞くときには、 自分なりにそのかざり言葉を取りのぞき、 端的な結論に置きなおしてみる必要がある。 それは自分の責任だ。――― もっとも、 次の歌のように、何でもかんでも疑ってかかるのも度がすぎているが ―――。

「偽りのことの葉しげき世にしあれば思うといふも誠ならめや
(玉葉集 源頼朝)
傍線 言葉の多い、  「信じる」 と言ってくれても、それは本当でしょうか?

【エピソード】

(1)服職人たちは、言葉たくみにまず上等の服を作り、次に新たに、軽くて着心地がよく、そして正直な人にだけ見えて、よこしまな人には見えない服を作ることができると言った。王様はじめ皆は信じてしまった。まことに、インチキ話は耳に心地よい。これを見破ったのは、本当に正直な子どもだった。
アンデルセン童話 「はだかの王様」

(2)阿諛あゆ追従ついしょうは宮廷に満ちている ――― フィレンツェの宮廷で、 君主がこれから身を守るには、人が自分に真実を言っても決して立腹しないことを人に分からせるよりほかにない、とマキャベリは 「君主論」(1513年) の中で言っている。

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